7月のメール相談
私は世田谷区内で介護の事業を経営し、ヘルパーとしても従事している者ですが、従業員に関する相談です。
ある従業員が熱心な宗教家で、入信やセミナーの参加を入社してすぐ勧誘されました。(喫茶店に呼び出して勧誘されたのは、今のところ私のみです。)
私としては、従業員の信仰は自由だが会社で関わった人(利用者や研修先、得意先)や他の従業員に啓蒙活動は絶対にしないでほしいと伝えました。そうしたところ、『勤務中はもちろんやらないが、勤務以外の時間ではやるのは自由だ』という回答を得ました。
そこで、当事業所としてはまだ規模も小さいため、他の従業員や利用者様などに変な噂や印象を持たれては困ると判断し、誓約書を書いてもらおうとしたところ『憲法にも書いてあるように、宗教の自由がある。(その従業員の)祖母が入信して認知症が治ったように、宗教を必要としている人はきっといる。だから啓蒙活動を規制されては困る。』と言い辞めていきました。
その際同席した他の従業員にも宗教の新聞を見せ、本を読んでくださいと置いていきそうになりました。
私としては、確かに宗教を必要としている人がいることは理解できますし、その従業員も熱心なあまり啓蒙活動を活発にやりたい、こういう職業だからこその親切心(?)があるというのも理解できます。憲法でも保障されていることでもあります。
しかし、宗教の浸透していない日本で、そしてまた組織として動いていく以上、業務外での守秘義務があるように業務外での啓蒙活動の規制をしていく必要がある(利用者さんの生活の中に入っていく職業ですので)と考えていますが、いかがでしょうか?
質問として、
Q1.当事業所の対応はこれでよかったのか。
Q2.他の事業所はどうしているのか。
Q3.また、今後このような熱心な宗教家が従業員として入ってくる場合、どのようにしていったらよいのか。
恐らく、法律上はこうしなけらばならないが実践では?だという内容もあるかもしれませんが、それらも知識として教えていただけたらと思います。
ご回答よろしくお願いいたします。
社会保険労務士:久禮和彦先生のお答え
A1.事業所の対応は特に問題ありません。
憲法でも宗教の自由はありますが、自分自身の信仰について自由といっているだけで、事業所の啓蒙活動の自由を定めていません。事業所又は雇用上の宗教活動(啓蒙活動等を含む)は事業主の経営上の判断で決めることが出来ます。
「就業時間外だから問題ない」ということもありません。雇用契約は入社日の始業時刻から退職日の終業時刻までが就業時間を含めて効力があります。就業時間は労務の提供について具体的に規定されています。
A2. 他の事業所では、法律で規定していませんので独自に就業規則で規定しています。
宗教活動だけでなく、社内の掲示物、物品の販売勧誘、金品の貸し借り等事業所が規制したいことを記述します。違反すれば社内処罰の対象とすることも規定します。
A3. A2で記述した就業規則を作成するのが良いと思います。準法律の扱いを受けます。
また、最低限度の注意事項を列記して入社時に誓約書をもらってもいいでしょう。
就業上及び雇用上の条件は、法律上や公序良俗に反しない限り、全て事業主の経営上の判断です。あとは明確に伝える手段として就業規則があります。
