11月のメール相談
介護事業所でサービス提供責任者をしております。
私が担当していて重度訪問介護を利用している利用者の件で相談です。
その利用者はヘルパーから、身体の機能に対して、給付を受けている時間的にも、現在組まれているサービス計画の内容的にも「自立支援の観点からいうとやりすぎているんじゃないか」と言われています。
利用者からは「いろいろやってもらわないと来ている意味がない。人によってやってくれることが違うのも困る。」という風に言われていて、何らかのかたちでサービス提供で何が必要で何が必要ないのかを見直す必要があると考えています。
ヘルパー、利用者の意見に食い違いがあり円満な解決がとても難しいようにも感じています。
この場合、この仕事は誰が中心的になって行うべき仕事なのでしょうか? 利用者が中心になるのはもちろんですが、それと一緒になって話を進めていくのは区のケースワーカーなのでしょうか?サービス提供責任者なのでしょうか?
ちなみにこの利用者は当事業所のみの契約です。
介護支援専門員:北田信一先生のお答え
自立を促すためのケアは、利用者の思いと支援者の考えの間に違いがあるととても難しくなります。直接担当するスタッフさんと利用者さんの間に挟まれ、また、ケースワーカーさんとの役割分担もはっきりしないなかで本当にご苦労されていると思います。
重度訪問介護を利用されている方となると、多くの時間、多くの生活支援が必要な方だと思われますが、この問題の解決には、まず利用者の方が障害を持ちながらもどのような生活を望まれているか、望まれる生活(暮らし)の全体像を明らかにすることから始まると思います。いつ誰に何をどのように支援してもらいながら、どのような生活(暮らし)を実現したいのか、それをしっかりと確認しあうことが必要だと思います。また、その時、エンパワメントアプローチや自立支援の観点から、ご本人の持つ力をできるだけ発揮して生活してもらうことも視野に入れてお話し合いをするとよいと思います。もちろん最終的には利用者ご本人の自己決定によりサービス内容が決まるわけですが、話し合いのプロセスを経るなかで、サービス提供で何が必要で何が必要ないのかを見直す機会になると思います。どのような生活を望むかがはっきりすれば(つまり目標がはっきりしていて)それを実現するために訪問介護員として何を支援するのか具体的方法が明らかになります。
話し合いのプロセスとそこで確認した目標、そのための支援内容をスタッフさんたちにしっかり伝えていけば、今あがっているような意見はなくなると思いますし、介護内容も統一できると思います。
さて、この仕事を誰がするかですが、基本は支援相談員(区のケースワーカーさんがその役割を担っているのならケースワーカーさん)の仕事と思われます。ただ利用されている事業所が一箇所だけとすると、サービス提供責任者である相談者さんがその仕事を担うか、もしくは一緒にかかわる必要もあるのかと思われます。まずは区のケースワーカーさんと連絡をとり、今後の方針、役割分担について話し合ってみてくはいかかでしょうか。
介護支援専門員:西和子先生のお答え
サービス提供責任者として多忙な日々を過ごされておられることと思います。
ご質問の件では誰が中心的になって行うべき仕事かとの事ですが、やはりサービス提供責任者の仕事だと思います。理由は次の通りです。
自立支援法での介護ではケースワーカーが本来ならば中心になって行うのですが、支援内容については事業者となります。それゆえになかなか区のケースワーカーは関わりを持つことが少なく、事業所任せのところが多いようです。事業所としてもコーディネートしてくれる人がいないとなると、所長(障害担当として)もしくはサービス提供責任者がその業務を担うことになります。
ご質問の件では、まず初めに「どういう状況なのか現状を知ること」が必要です。さまざまな角度から、情報を収集しましょう。担当ヘルパー全員とのカンファレンス、利用者のQOLを高めるためにも本人へのモニタリング、利用者の現在のADL,IADLなど関わる専門職(医師、看護師、他)などから情報を集めます。利用者本人がどのように暮らしていきたいのか、その中で自分が出来ること、支援が欲しいことなど、はっきりさせていくことが大事と考えます。出来ない場合でもなぜ出来ないのかその理由も納得いくものでなければなりません。支援する場合も出来る条件の折り合いをつけていくことです。障害者の場合は自己主張がはっきりしていて、高齢者の場合は説明すると理解してくれる場合が多いです。利用者本人との話し合いをしっかり持ち信頼関係をまず作ることが必要です。
何が原因で現在の状況になったのかを徹底的に調べる、予想する。
利用者にとってマイナスとなり得るリスク、プラスとなり得る可能性を思いつく限りすべて考える。
これらの要素を踏まえながら、利用者の思いや願いに寄り添い続ける。親身になって取り組んでいくところにあなたの思いが相手に通じていく時が必ず来ると信じます。
困難事例(ということに私は抵抗を感じますが、、、)は自分を成長させるとても良いチャンスです。あなたのサービス提供責任者としてのスキルアップがヘルパーさん、また事業所の質の向上につながっていくという大切な役目を担っています。大変と思われるかもしれませんが、あなたにとって乗り越えられることだから頂いているものと考えていただきたいです。陰ながらエールを送ります。
■今回はお二人の先生にご回答いただきました。
まずは、区のケースワーカーに連絡をとりご相談してみてはいかがでしょうか。
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