第31回日本摂食嚥下リハビリテーション学会 発表事例報告
多職種が集結:「いつも楽しく食べる」を実現する摂食嚥下リハビリの力
2025年9月19日(金)から20日(土)の二日間、「いつも楽しく食べる~多職種による安全な食事の支援~」をテーマに、第31回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会が開催されました 。
食事が単なる栄養補給ではなく、「生きる喜びそのもの」であるという普遍的な価値を再認識させられる大会でした 。
世田谷区社会福祉事業団の「もぐもぐチーム」の挑戦と学会発表
世田谷区社会福祉事業団の訪問看護課の摂食・嚥下・リハビリの専門職連携「もぐもぐチーム」は、在宅サービス(ST、PT、介護福祉士、Ns、管理栄養士)と施設(芦花ホームの歯科衛生士)という多職種から構成され、株式会社ロッテ様と連携し、「最期まで口から食べること」を目指した活動をしています。
「日本摂食嚥下リハビリテーション学会」という多職が集う大きな学会で、これまでの成果を発表する機会を得ることができました。
なぜ「咀嚼チェックガム」が必要なのか? 客観的評価の重要性
従来の摂食嚥下の評価は、観察や問診に頼る部分が大きく、咀嚼機能の「隠れた問題」を見逃す可能性がありました。
咀嚼チェックガムを使用する目的は、咀嚼力や食塊形成能力を客観的かつ定量的に評価することにあります。ガムを一定時間噛んだ後の色の変化(均一性)や、噛み砕かれた粒の大きさなどから、舌や顎の動き、つまり口腔機能の状態を「見える化」できます 。これにより、多職種間で共通の認識を持ち、利用者様一人ひとりに合わせた精度の高いリハビリを提供できるようになります 。
この客観的な指標は、安全性の確保と生活の質の向上(QOL)という二つの目標を両立させるために有効なツールと言えます。
【発表事例報告】「咀嚼チェックガム」が可視化した在宅と施設利用者の口腔の「隠れた問題」と改善への道
事例1:施設での「食べる楽しみ」拡大(芦花ホーム・歯科衛生士 渡辺)
芦花ホームの事例では、普段、やわらかい嚥下調整食を召し上がっている利用者様が「もう少し形のあるものが食べたい」という希望を持たれていました 。
事例2:訪問看護ステーションでの咀嚼力の可視化による「食塊形成」能力の改善(訪問看護ステーション三軒茶屋三軒茶屋・言語聴覚士(ST)和仁)
訪問看護ステーション三軒茶屋の事例は、在宅でよく窒息を起こしてしまう利用者様への介入報告でしたた。
再評価では、咀嚼チェックガムのスコアが顕著に向上し、改善が見られました 。和仁STは、今後は対象者をさらに広げ、嚥下障害が起こる前の口腔フレイルの状態を見極め、早期に介入していく必要性を発信しました 。
まとめと今後の展望:連携による相乗効果を在宅・訪看へ
私たちは、学会で得た知見を活かし、多職種の知見や取り組みを知り、学んだことを自分達で実践し、その成果を発信していくことが、広く世の中の口腔フレイルや誤嚥、嚥下障害に対応し「最期までおいしく食べる事」に役立っていくと考えます。
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