BLOG

【多職種連携の最前線】摂食嚥下リハビリの新常識!「咀嚼チェックガム」で在宅・施設の口腔機能を改善

  • お知らせ
  • 2025年12月11日
  • NEW

第31回日本摂食嚥下リハビリテーション学会 発表事例報告

 

多職種が集結:「いつも楽しく食べる」を実現する摂食嚥下リハビリの力

2025年9月19日(金)から20日(土)の二日間、「いつも楽しく食べる~多職種による安全な食事の支援~」をテーマに、第31回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会が開催されました 。

食事が単なる栄養補給ではなく、「生きる喜びそのもの」であるという普遍的な価値を再認識させられる大会でした 。

 

ta2025120101427.jpg

  • 会場には多くの参加者が集まり、医師歯科医師言語聴覚士(ST)管理栄養士看護師(Ns)理学療法士(PT)作業療法士(OT)歯科衛生士介護福祉士など、多様な職種からの発表が繰り広げられまし繰り広げられました。
  • 一般演題は、最新の評価技術から地域・在宅での具体的な介入事例まで多岐にわたり、口頭発表360件、ポスター発表251件を通じて、各専門職による知見が共有されました 。
     
  • 摂食嚥下支援が、特定の専門職だけで完結するものではなく、それぞれの知識と視点を持ち寄る多職種連携(チーム医療)なくしては成り立たないという、学会のテーマを体現していました 。


世田谷区社会福祉事業団の「もぐもぐチーム」の挑戦と学会発表

世田谷区社会福祉事業団の訪問看護課の摂食・嚥下・リハビリの専門職連携「もぐもぐチーム」は、在宅サービス(ST、PT、介護福祉士、Ns、管理栄養士)と施設(芦花ホームの歯科衛生士という多職種から構成され、株式会社ロッテ様と連携し、「最期まで口から食べること」を目指した活動をしています。

「日本摂食嚥下リハビリテーション学会」という多職が集う大きな学会で、これまでの成果を発表する機会を得ることができました。

 

  • 発表演題:「咀嚼チェックガムの活用により口腔機能が改善した施設と在宅の2事例」について、9月19日の「訓練・治療2」セッションで発表しました。

     
  • 当日の発表は芦花ホームの歯科衛生士・渡辺、訪問看護ステーション三軒茶屋の言語聴覚士(ST)・和仁、世田谷区社会福祉事業団訪問看護課の管理栄養士・竹内が発表を行いました。共同研究者は、訪問看護ステーション三軒茶屋の理学療法士(PT)の白石、世田谷ホームヘルプサービスの介護福祉士の永嶋、訪問看護ステーションけやきの看護師(Ns)の大原と多職種での発表となっています。
     

なぜ「咀嚼チェックガム」が必要なのか? 客観的評価の重要性

従来の摂食嚥下の評価は、観察や問診に頼る部分が大きく、咀嚼機能の「隠れた問題」を見逃す可能性がありました。

咀嚼チェックガムを使用する目的は、咀嚼力食塊形成能力を客観的かつ定量的に評価することにあります。ガムを一定時間噛んだ後の色の変化(均一性)や、噛み砕かれた粒の大きさなどから、舌や顎の動き、つまり口腔機能の状態を「見える化」できます 。これにより、多職種間で共通の認識を持ち、利用者様一人ひとりに合わせた精度の高いリハビリを提供できるようになります 。

この客観的な指標は、安全性の確保生活の質の向上(QOL)という二つの目標を両立させるために有効なツールと言えます。

 

【発表事例報告】「咀嚼チェックガム」が可視化した在宅と施設利用者の口腔の「隠れた問題」と改善への道

 

事例1:施設での「食べる楽しみ」拡大(芦花ホーム・歯科衛生士 渡辺)

芦花ホームの事例では、普段、やわらかい嚥下調整食を召し上がっている利用者様が「もう少し形のあるものが食べたい」という希望を持たれていました 。

 

  • 咀嚼チェックガム咀嚼力や舌の動きを客観的に評価し、その結果に基づいて個別に訓練を重ねました。

     
  • 結果、咀嚼力が向上し、念願の食形態を一段階上げることが実現しました 。さらに、おやつを使った直接訓練の結果、おやつに関しては常食を食べられるようになりました 。
     
  • この成果は、単に栄養摂取の改善に留まらず、「おやつが楽しみになった」ことで離床時間が増え、職員との会話も増加するという、生活全体にポジティブな影響をもたらしました 15。渡辺歯科衛生士は、個別化されたアプローチの重要性を発信しました。

事例2:訪問看護ステーションでの咀嚼力の可視化による「食塊形成」能力の改善(訪問看護ステーション三軒茶屋三軒茶屋・言語聴覚士(ST)和仁)

 

訪問看護ステーション三軒茶屋の事例は、在宅でよく窒息を起こしてしまう利用者様への介入報告でしたた。
 

  • 言語聴覚士の和仁がガムで評価したところ、利用者様は顎が上下左右に動いており、一見「しっかり噛んでいる」ように見えましたが、実際のスコアは低く、ガムを混ぜ合わせる(食塊を形成する)ことができていない「隠れた問題」が判明しました。

     
  • 外見からは誤認しやすい問題をガムによって可視化できたことで、訓練の方向性が明確になりました。訓練では、食塊形成ができるようガムを確実にとらえられるように意識付けを行い、食物をすりつぶすための下顎の左右への動きを強化しました 。
     

再評価では、咀嚼チェックガムのスコアが顕著に向上し、改善が見られました 。和仁STは、今後は対象者をさらに広げ、嚥下障害が起こる前の口腔フレイルの状態を見極め、早期に介入していく必要性を発信しました 。

まとめと今後の展望:連携による相乗効果を在宅・訪看へ
 

私たちは、学会で得た知見を活かし、多職種の知見や取り組みを知り、学んだことを自分達で実践し、その成果を発信していくことが、広く世の中の口腔フレイル誤嚥嚥下障害に対応し「最期までおいしく食べる事」に役立っていくと考えます。

  • 現在、訪問看護ステーション(訪看)では、咀嚼チェックガムを使った評価をもっと多くの利用者様へ広めるために、各ステーション所属の「もぐもぐチーム」のメンバーが積極的に活動を広げています 。
     
  • 芦花ホームでは、菓子を用いた咀嚼訓練高齢者の口腔機能にどのような影響を及ぼすかについて研究を続けています 。
  • 2年前、日本摂食嚥下リハビリテーション学会に参加した際、「完全側臥位法」について知るきっかけになりました。当初は疑心暗鬼で情報を集めながら行っていたこの体位についても、先日「太子堂エリア会議拡大版」で実習を行い、地域の様々な事業所の多職種が体験することでその有用性を共有できました。

#摂食嚥下 #口腔 #多職種 #在宅 #咀嚼 #ST #PT #OT #Ns #看護師 #咀嚼チェックガム

#日本摂食嚥下リハビリテーション学会

 

 

★★採用情報:訪問看護ステーションの職員募集中

  https://www.setagayaj.or.jp/jobinfo

 

 



 

採用サイトは こちらから
メニュー